アーティストはその本人が意識しているにしても、意識していないにしても、目に見えない存在と働いています。それはシャーマンがやっていることと、とても似ています。

今、色々なアーティストの表現を見ていると、そのアーティストがどんな「気」を使って表現をしているのかが分かります。また、神々や悪魔がそのアーティストを通して、何を人間に伝えたいのかが分かります。そういうことをアーティスト自身が理解することは、御自身の立場を理解する上で、とても大事です。

アーティストが目に見えない存在と共に働くことは、ほとんどシャーマンが行なっているチャンネリング(目に見えない存在を自分に宿すこと)と同じです。アーティストがどれだけ目に見えない存在と共に働くのかということは、どれだけのシンクロ率でその存在と働くのかによって決まってきます。シンクロ率が高ければ高い程、目に見えない存在と強く働きますが、これはチャンネリングそのものです。

先日、ライブで演奏していて難しく思ったのは、如何にチャンネリングと言われない領域にシンクロ率を留めるのかということでした。シンクロ率を100パーセントにすると、それは完璧なチャンネリングであって、その演奏はもはや「ライブ」ではなくて「儀式」です。お客さんは「ライブ」を観に来たのであって、「儀式」を観に来たわけではないですから、シンクロ率を抑える必要が自分の場合はあります。これは今後の課題でもあります。

「あのアーティストはパフォーマンスの時に何かが憑依している」みたいなことが言われることはアートの現場では少なくありません。そういったアーティストは目に見えない存在とのシンクロ率が高いが故にチャンネリングと言われる領域に足を踏み入れているアーティストと理解して頂ければ、と思います。本当に優れたアーティストは大体その領域に足を踏み入れています。

シンクロ率を左右する要素はたった一つであって「気合い」です。「気合い」とは「気」が「合わさる」と書くように、「気合い」が入っていれば入っているほど、目に見えない存在からの「気」を多く受け取り、それが表現に影響を与えます。だからこそ、アーティストが本番で必要なのは強い「気合い」です。「気合い」の構造はここに書いているので、合わせて読んで頂けると幸いです。

http://junashikari.com/mind/kiai/

自分の役割の一つは、アーティストと目に見えない存在がどのように共に働いているのかを伝えることです。それをアーティストに伝えられれば、アーティストはより神々と共に強く働きやすくなるからこそ、これはとても重要だと思っています。そういったことを伝えるために、作品やパフォーマンスの解説をしたり、自分が表現を行なう必要があります。

とにかく、この文章を通して、アーティストとシャーマンがあまり変わらないことを少しでも理解して頂けると幸いです。