このページでは、この世界の危機の意味を学ぶ上で役立つ動画を整理し紹介していきます。

ウクライナ侵攻は戦後秩序の崩壊を意味し、最悪の場合、第三次世界大戦への始まりともなり得る重大な出来事ですから、この危機の意味を適切に学ぶことは、現代を生きる我々にとってとても大事なことだと思います。

ただ、情報戦争が繰り広げられる中、適切な形でこの出来事を理解することは容易ではなく、信用に値する素材を通して学ぶ必要があります。だからこそ、このページではオススメの動画を紹介していきます。

ウクライナ侵攻の意味を深く学ぶためには、プーチンの思想、ウクライナの歴史、ロシアがどういう国であるのか、といった事柄を学ぶ必要があります。また、この侵攻は第三次世界大戦や核戦争への引き金となり得るものだからこそ、今こそ第二次世界大戦のことや今まで世界が経験した核戦争勃発への危機について学びを深めるべきタイミングかもしれません。

ウクライナ侵攻は対岸の火事ではなく、これからの世界の方向性を決定付ける大きな要因となってしまいました。つまり、プーチンはこの世界を既に変えてしまいました。

そして、そんな時代をこれから我々は生きていくこととなります。我々が道を誤ってしまわないために、現状を知ることはとても大事ですから、このページの様々な動画を実際に御覧になって頂くことで、今の持つ意味を理解して頂けると幸いです。

※私自身まだチェックできていない動画はありますし、これからも良い動画が出てくるはずなので、しばらくはこのページは随時更新していくと思います。


【現状把握のために役立つ動画】

ウクライナ侵攻の現状を伝える番組や動画はたくさんありますが、その全てをチェックするのは大変です。ですから、どれかに絞る必要があり、2つの番組をオススメしたいと思います。
 

・NHKスペシャル

『NHKスペシャル』は週に一度程度更新されてますが、その週の状況報告と専門家の分析の両方を観ることができます。定期的に状況を報告する番組の中では、ベターな選択肢と言えます。
 


※NHKはこの番組に限らず重要な動画をたくさん配信していますので、この機会にNHKオンデマンドに加入されることをお勧めします。『NHKスペシャル』の最新回もNHKオンデマンドから御覧下さい。

https://www.nhk-ondemand.jp/#/0/

 

・豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス
 


様々なニュース番組・ニュース動画が似たような内容を放送しているのに対して、『豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス』は多くの報道機関とは異なる観点で現状の意味やこれからの様々な可能性を伝えています。

例えば、上の動画はウクライナ侵攻に関するロシア側の観点を伝えるもので、ロシア側の視点を伝える動画が極めて少ないので、この動画は大変参考になります。

 

【プーチンの思考を知るための動画】

ウクライナ侵攻に関して、プーチンは間違った選択をしたことは明らかですが、何故プーチンが間違った選択をしたのかを知ることは大変大事なことです。何故ならば、「問題解決」のためには根本的な「問題」とは何なのかを明らかにする必要があるからです。

プーチンの思考を理解する上で役立ちそうな動画二本を紹介します。
 

・プーチン大統領 対ウクライナ宣戦布告演説
 


プーチンの考えを理解する上で最も王道の方法はプーチンの話をちゃんと聞いてみることです。それは演説の一部分だけを都合のいいように切り取ったニュースなどではなく、ある程度まとまった時間の演説を聞く必要があります。

ただ、この演説動画の中には、自身の決定を正当化するための様々な嘘や誇張表現やこじつけも少なくありません。ですから、この演説の全てを鵜呑みにすることはすべきではありません。しかし、この演説全てが嘘・誇張表現・こじつけであるわけではなく、プーチンの思考を理解する上で役立つ部分もあります。

例えば、「NATOの拡大に関して欧米は一線を超えた」ということに関するプーチンの発言は、今回のウクライナ侵攻を決定した大きな動機の1つであることは確かですし、プーチン自身の言葉でこの点に関する話を聞いてみることは大事です。
 

・オリバー・ストーン オン プーチン
 


『プラトーン』の監督などとして知られる映画界の巨匠オリバー・ストーンは2015年から2017年の2年間、ロシアに何度も通ってプーチンのインタビュー動画を膨大に撮影しました。

そのインタビューの約4時間分をAmazonやU-nextから観ることができます。かなり膨大な内容で、事前知識の無い状態で観るのは結構大変でもありますが、このインタビュー動画が大変貴重であることは確かです。

このドキュメンタリーでは、2015~2017年頃のプーチンが世界の様々な事柄をどのように見つめているのかを垣間見ることができます。

例えば、このインタビューの中でウクライナのことは度々話題に上がっていて、当時からウクライナがNATOに加盟することに関して、プーチンの感情がかなり動いていることを感じられます。

このことだけからも、プーチンが今回の侵攻を突発的に起こしたわけではなく、「ウクライナがあまりにも欧米側に寄るならば侵攻してでも死守する」とずっと前から思っていた可能性を検証できます。

ただ、プーチンは賢く、自分がどのように観られるのかを計算しながら話しているので、このインタビュー動画のプーチンの発言全てを鵜呑みにし、信用することは全くお勧めしません。

しかし、参考になる部分は多くあると思います。というのも、インタビュアーが政治や歴史にかなり詳しいオリバー・ストーンであって、プーチンも簡単に騙せない相手だと分かって話しているからです。

そういう意味では、国民に向けての演説よりも、こちらの動画の方がより信用性が高いはずです。

 

【ロシアという国を知るための動画】

「プーチンのロシア」と言える程に、プーチンはロシアの様々な事柄を決定している人物です。ですから、ロシアのことを理解することはプーチンの行なってきた様々な事柄を知ることであり、プーチンのことを知る上でロシアのことを理解することは大事です。

2009年にNHKが作成した『プーチンのロシア』というドキュメンタリーが4本あり、どの作品も大変素晴らしいです。また、2016年にNHKが作成した『激動の世界』というドキュメンタリーシリーズの1つでロシアがテーマとなっており参考になります。これらは現状YouTubeから全て見れますので、動画を貼り付けていきます。

現状の中で作られる様々な動画の多くは、今繰り広げられている情報戦争の影響を強く受けてしまっています。そういう意味では、過去に作られた映像を通して学ぶ方が適切だと思います。
 

・揺れる大国 プーチンのロシア 第1回プーチンのリスト ~強まる国家資本主義~
 


このドキュメンタリーは大変素晴らしく、ロシアの企業は国に忠誠心を持たなければ生き残っていくことができない構造を見事に捉えています。

ウクライナ侵攻の後、欧米各国はロシアの実業家の資産凍結を行ないました。このドキュメンタリーを観るならば、そういった形でロシア実業家に圧力をかけることがロシアの力を奪うということに繋がる構造を理解しやすくなります。

 

・揺れる大国 プーチンのロシア 第3回 離反か 従属か ~グルジアの苦悩~
 


ロシアの隣国であるグルジアは、ウクライナと同様にかつてロシアからの攻撃を受けました。このドキュメンタリーでは、そのことによって苦悩する家族、そのことによって引き離された家族が記録されていて、苦悩の中でも前を向く彼らの姿は我々に大事なことを教えてくれます。また、彼らの姿はウクライナの人々が今経験している苦悩を理解することも促すと思っています。

 

・揺れる大国 プーチンのロシア 第4回 プーチンの子どもたち~復活する“軍事大国”~ー
 


プーチンは軍人を育てることに大きな力を注ぎ、このドキュメンタリーでは15歳位の男の子達が軍の学校で「愛国心」を育まされている過程が記録されています。

おそらくこの動画に映っている彼らの一部はウクライナ侵攻の中で闘っているはずで、そういうことを踏まえながら動画を観るならば、ウクライナ侵攻に関わる兵士達について少しだけ理解を深められると思います。特に、ロシア兵に関する客観的な情報が今はとても少ないので、この動画は参考になります。

 

・揺れる大国 プーチンのロシア 第2回 失われし人々の祈り ~膨張するロシア正教~
 


今のニュースではほとんど取り上げられることがありませんが、プーチンは失われたロシア正教をロシアに復活させた人物です。そして、宗教が人間に与える影響は凄まじいので、プーチンを語る上で彼がロシア正教を復活させたという事実は必ず語られるべき点です。

このドキュメンタリーでは、現代のロシア人が復活したロシア正教とどのように向き合いながら生きているのかが記録されています。

 

・『激動の世界』第2回 大国復活の野望 〜ロシア・プーチンの賭け〜
 


『揺れる大国 プーチンのロシア 第1回プーチンのリスト』では、ある実業家が国家に忠誠を誓わざるを得ない構造が記録されていますが、こちらのドキュメンタリーでは、国家に忠誠を誓い、忠実に国家のために動き続ける実業家が記録されています。そして、プーチンの目的を実現するために動かされているこういった人物が、ロシアの力を強めていることを我々は知ることができます。こちらの動画もロシアの実業家の力を封じることがロシアを封じめることに繋がる構造を教えてくれます。

 

【ウクライナを知るために】

・ETV特集 「ウクライナ侵攻が変える世界 2014 対立の原点」

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2022119476SA000/?np_banID=top_sp0368_119476

このドキュメンタリーはNHKオンデマンドからしか観ることができませんが、ウクライナの内部の対立を理解する上で大変役立ちます。ウクライナ国内にも欧米派とロシア派の対立がずっとあり、この構造を理解することは、今回のウクライナ侵攻の意味を理解する上で大変重要です。学者達の話の部分を飛ばして観るなら、比較的短時間でウクライナ内部の対立のことを垣間見ることができます。

※ウクライナ内の構造を伝える日本語の動画は大変不足しており、また見つけ次第ここに貼り付けます。

 

【戦争を知るための動画】

この機会に「戦争とは何なのか?」ということはとても大事なことです。この危機が起こったからこそ感じられる「危機感」はあり、そういう「危機感」によって「戦争」という言葉は歴史の教科書で出てくるただの言葉ではなく、より身近な脅威として感じられるからです。つまり、今程に「戦争」という言葉の「重み」を感じやすい時期はなく、だからこそ、今こそ戦争のことを学ぶにふさわしい時期です。

現代を生きている我々人間の多くは、戦争を経験したことのない、つまり、戦争を知らない世代です。そして、戦争を知っている人間がどんどん少なくなっていることが、第三次世界大戦の勃発を近づけている大きな要因だと思います。そんな時代にあるからこそ、なんとかして戦争のことを少しでも学ぶことは大事で、言葉などと異なり映像は戦争の恐ろしさを直接的に我々に教えてくれます。

NHKが制作した『映像の世紀』シリーズは、当時撮影された映像を使って編集・構成されたドキュメンタリーで大変素晴らしく、日本人の教科書にすべきドキュメンタリーです。ここでは、戦争を取り上げた回をメインに3本だけ紹介します。

 

・映像の世紀プレミアム(17)「人類の危機」
 


この回は世界が経験してきた様々な危機を取り上げています。その危機とは、「疫病」「世界恐慌」「キューバ危機(核戦争勃発の直前まで進んだ危機)」「原発(チェルノブイリ)」です。コロナが流行り、ロシアが軍事侵攻を行なった現代はこれらの危機全てが同時に起こり得る時代であって、だからこそ、かつての危機がどのような構造によって起こったのかを学ぶことはとても大事です。また、それらの危機が如何に深刻な事態を生み出したのかを確認することもとても大事です。

 

・映像の世紀 第4集「ヒトラーの野望 人々は民族の復興を掲げたナチス・ドイツに未来を託した」

https://www.nicovideo.jp/watch/sm38739553

この回の『映像の世紀』は第二次世界大戦へ人類が向かった背景、人々がヒトラーを支持した背景などを中心に描いています。

その国の経済を立て直し、国民からの支持を得た一人の権力者が他国へ軍事侵攻を行ない、戦争への引き金を引いていくという構造について、ヒトラーとプーチンは非常に似ています。ヒトラーの時の悲劇を繰り返さないためにも、今こそこの映像は観られるべきだと思います。

※ニコニコ動画ですので、表示されるコメントはオフにして御覧下さい。

 

・「映像の世紀」第5集「世界は地獄を見た 無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆」

https://www.nicovideo.jp/watch/sm38739729

この回の『映像の世紀』は人類最大の負の遺産である第二次世界大戦を取り上げています。今こそ、第二次世界大戦の悲劇を再確認すべき時ですし、「戦争」とは何なのかを学ぶべき時だと思います。

 

【ウクライナ侵攻についてより詳しく学ぶための動画】

ウクライナで起きていることの現状を知る手段として、最初に使うべき媒体は映像だと思います。というのも、言葉だけだと聞き手が勝手なイメージを頭の中で想像しがちですが、映像はそもそもイメージを伝えるものだからです。だからこそ、映像は言葉よりも現実を我々に教えてくれます。

しかし、ある程度映像を通して現状把握ができてきましたら、話だけを聞いていても頭の中で抱くイメージと現実のギャップが少なくなりやすいです。その段階まで来たとしたら、様々な専門家の話を聞いたり、彼らの本を読んでみるのもいいかもしれません。YouTubeなどから観れる専門家の話の動画をいくつか貼り付けさせて下さい。


・小泉悠先生
 



最近様々なメディアに出演されている専門家の方ですが、小泉先生の話は信用できる情報が多いので、深く学びたい方は小泉先生の動画から学んで頂くことが適切なのかもしれないと思っています。

 

【観るべきではない動画】

ウクライナ侵攻関連で観るべきではない動画もたくさんあり、その種類は大きく分けて二種類です。1つは「プロパガンダ色」の強い動画であり、もう1つは「軽さ」がある動画です。
 

・「プロパガンダ色」の強い動画

「プロパガンダ」は客観的な事実を伝えることよりも、民衆にこう思わせたいという意図によって作り上げられた動画なので、観てしまうと真実が見えなくなってしまいます。

例えば、『アメリカが最も恐れた男 "プーチン”』というドキュメンタリーが様々な動画配信サイトから観ることができますが、アメリカがプーチンに対する印象を下げるために作った映像なので、根本的な問題が何なのかが見えなくなってしまいます。
 


他にも、2014年のウクライナ国内の内戦を映画化した『ウクライナ・クライシス』という映画などがありますが、この作品も「プロパガンダ色」が強く、オススメできません。

 

・「軽さ」のある動画

日本国内の様々なユーチューバー達がウクライナ侵攻のことを取り上げていますが、「軽さ」のある動画は少なくありません。
 


例えば、この動画は説明されている内容が正しいか間違っているか以前に、全ての説明について「重み」がなく、だからこそ、観るべきではありません。

「重さ」のある情報を「軽さ」と共に学んでしまうなら、我々はその情報の「重さ」を感じられなくなってしまいます。そして、今回の出来事は極めて「深刻」なことであって、絶対的に「重さ」と共に学ぶ必要があります。だからこそ、こういった「軽さ」のある動画で学ぶことは、むしろ弊害となります。

また、ワイドショー的な感じでウクライナ関連のことを扱うニュースなども観るべきではありません。というのも、そういう動画は無意識に我々をワイドショーのテンションにしてしまうからです。そういう意味では、『映像の世紀』程に「深刻」なウクライナ関連の動画がもっと増えなければならない状況にあります。

 

【最後に】

ここまで様々な動画を紹介してきましたが、その多くはNHKのものです。NHKを否定的に捉える人もいますが、現状の日本ではNHKが最善であると思います。

というのは、公共放送だからこそ、利益を度外視してお金をかけて番組を作ることができますし、理念を持って番組を制作している映像制作者が少なくないからです。

ただ、ここには一切取り上げませんでしたが、『アジアンドキュメンタリーズ』という極めて重要な動画配信サイトがあり、このサイトは世界の様々な真実を我々に教えてくれます。

https://asiandocs.co.jp

現状、ウクライナ関連の動画は一本しかありませんが、今後このサイトでウクライナ関連の動画が充実してくればチェックされることをオススメします。

ウクライナ関連の事柄、今世界が経験している危機に関する動画について、様々な動画配信サイトの動画をチェックしてきましたし、YouTubeにアップされてきた膨大な映像をチェックした上で、この一覧を作成しました。御興味のあるところからで構いませんので、御活用頂けると幸いです。

この国が間違った方向へ向かわないためにも、一人でも多くの方が現状に対する理解を深めて下さることを願っております。