笑顔で他人に接することは「相手のため」に大事です。表情が暗いと相手に「何か悪いことを言ってしまったかな、、」といった「不安・被害妄想」を与えやすくなるからです。これが「愛」の方向性です。

笑顔で他人に接することを「自分のため」に行なうことは避けた方がいいです。「(自分のために)自分の印象を良くしたい」といった不純な動機に同調してしまうからです。これが「欲望」の方向性です。

「愛」が無いと本当の笑顔は出てきません。逆に、「欲望」だと嘘の笑顔を演じることになります。例えば、オードリーヘップバーンの笑顔は「愛」から生まれる本当の笑顔です。

いつも「愛」を動機に笑顔で他人と接していると「愛」が強くなりますし、相手にも自分の本当の「愛」を伝えることになります。逆に、いつも「欲望」を動機に笑顔で他人と接していると、「欲望」が強くなりますし、相手を騙し続けることになります。

我々はいつも他人と接しますし、どんな表情で相手に接すべきかということは皆がよく考えることだと思います。そのことについて、「愛」と「欲望」の分岐点がこういう風にあることを知って頂いて、活用して頂けると幸いです。


ここまでの話は「愛」と「欲望」という大きな対立軸で書きましたが、この対立軸を理解することがまず初めに大事です。しかし、より細かく理解していくと、他人と接する時の表情の意味について理解が深まります。以下、発展的な内容です。

「愛」にも「欲望」にもそれぞれ種類があるので、それぞれの種類で表情は異なります。例えば、「水の気持ち」=「問題解決の心」で笑顔を心がける場合、「問題解決」の発想から笑顔を作ることになります。冒頭に、相手に「不安・被害妄想」を与えやすくなるからこそ笑顔を心がけるべきと書きましたが、この発想は「問題解決」の発想です。

では、他の「愛」の気持ちだとどうかというと、「火の気持ち(元気・笑い)」だと「相手を元気にしたい」からこそ笑顔を心がけます。自分の表情が「元気」だと、他人にも「元気」を与えるものです。「火の気持ち(元気・笑い)」だと、その点を大事に思いながら笑顔を心がけます。

「愛」について、そういうことを整理すると、

「水の気持ち(問題解決の心)」:相手に「問題(不安・被害妄想など)」を与えないために微笑む
「火の気持ち(元気・笑い)」:相手に「元気」を与えるために微笑む
「火の気持ち(闘いの心)」:相手を「敵(不安・被害妄想など)」から守るために微笑む
「風の気持ち(優しさ)」:相手を支えるために微笑む
「金の気持ち(愛そのもの)」:相手に自分の愛を伝えるために微笑む​

※「土の気持ち」自体には「愛」は無いので書いていません。

このように、それぞれの「愛」は目的が異なるので、笑顔で相手に接することの動機が異なります。しかし、どの動機も「相手のため」であって「自分のため」ではないことが共通としてあります。

次にそれぞれの「欲望」の動機の違いについてですが、例えば「恐怖・不安」から笑顔を作ることも可能です。「嫌われるのが怖いから」といった理由で「自分を守るため」に笑顔を作る人もいますが、これは「自分のため」なので「欲望」です。他にも、「本当の自分自身で相手と向き合うのがめんどくさい」といった「怠惰・嫌悪」から笑顔を作ることも可能です。「欲望」の方向性はこのような形で、それぞれ動機は異なっても、全て「自分のため」に表情を作ることを行ないます。

「愛」と「欲望」の中にも、こういった細かい違いがあることは知って頂けると幸いです。そして、自分が人と向き合う時に自分がどんな動機からその表情を抱いているのかを見極めて頂き、「愛」を動機にしている方はそのまま「愛」を動機にし、「欲望」を動機にしている方は「愛」の方向に切り替えて頂けると幸いです。

この文章では、笑顔についてだけ書きましたが、他人と接する時、いつも笑顔を心がければいいというわけではありません。真剣な話をしている時は真剣な表情をすべきですし、時には厳しい表情をすべき時もあります。どんな時に、どんな表情をするのかということを、我々は無意識にいつも心で選択しています。そういった部分に、それぞれの魂の個性がよく表れます。そういったことも意識化して頂けると幸いです。