二ヶ月前に日本に戻って来て、まず初めに思ったことがあります。それは、「どこを見ても嘘だらけ」ということです。

人を欺くという行為は闇の行為です。そして、闇の行為は闇のエネルギーを生みます。行為というものは思うことよりもより大きな気持ちを必要とします。ですから、闇の感情を持つことと闇の行為を働くということは、そこで生まれる闇のエネルギーに大きな差があります。闇の行為は闇の感情よりも、より大きな闇のエネルギーを生みます。

ある人が嘘を付くならば、その嘘を付いた人と付かれた人はそこで生まれる闇のエネルギーに蝕まれ、多くの人が嘘を付けば付く程、闇のエネルギーが広がり、世界は悪い方向へ向かって行きます。日本人は嘘の持つ闇のエネルギーの恐ろしさを本当に自覚しなければなりません。自分のために嘘を付いているつもりでも、結局はその悪いエネルギーに自分も相手も蝕まれていることに気が付かないといけません。

嘘とは何も他人に直接嘘を付く、ということだけに限りません。例えば、企業の広告などもそうです。企業はその企業のイメージをより良く見せようとします。そこで嘘が含まれたキャッチコピーや写真を使って自分をより良く見せます。Photoshopで顔をいじることもこれは一つの嘘です。そして日本中どこを見てもそのような広告ばかりです。そして、そういった広告を見るだけで我々は悪いエネルギーをもらいます。人間は広告の持つ力を軽視し過ぎています。

また、テレビは嘘ばかりです。彼らの多くは視聴率のためなら何でも行ないますから、様々なことを実際よりも大きく過大に表現します。また、テレビの世界は本当にやらせばかりです。台本があってとても自然に見えますが、それは前もって計画されたものであって自然ではありません。自然でないということは嘘を意味します。テレビなど見るものではありません。

例えば、人気俳優に一週間密着してみました、というような番組はよくありますが、かなりがやらせであって真実ではありません。つまり嘘です。しかし、それを見た人はそれを本当だと思ってしまいます。そして、その嘘はその俳優のイメージとして我々に定着します。一度イメージとして定着したアイデアは我々から離れることができません。ですから、その俳優を見る度に我々はその虚構のイメージを自分の中に抱くことになります。つまり、ここで再び嘘を付かれてしまうという現象が発生します。このようにたった一度の嘘がその後も連続して嘘として機能していくという現象は本当によくあります。それは対人関係も全く同じです。

そして、何よりも、我々を最も蝕んでいる嘘は「礼儀正しさ」です。前にも書きましたが、礼儀正しさとは本来美しさのためにありました。しかし、現代人にとって礼儀正しさとは自分のことを良く見せるための方法となってしまっています。つまり、現代人にとって礼儀正しさとは嘘に他なりません。

この国では誰もが自分を隠そうとしがちです。つまり、本当の自分の上に一枚、嘘の自分を設けます。それが現代の礼儀正しさのことでもあり、「本音と建前」とも言えると思います。他人とのコミュニケーションがそのような嘘に満ちていると、コミュニケーションを取れば取る程、悪いエネルギーが増えていきます。例えば、ビジネスマンとしての振る舞いを身につけていく段階で、本当の自分がかなり蝕まれていくのです。

日本という国は、そういった嘘に満ち満ちています。我々は「嘘とは何なのか?」ということ、そして嘘からどれだけ我々は蝕まれているのか、ということをよく知らないといけません。そして、日本のこの間違った礼儀正しさを我々はいつか終わらせないといけません。恐れずに、本当の自分をいつも出していかなければなりません。ただ素直に生きることが必要です。