チューニングについて
2018.03.08 アートについて
今まで色々なチューニングを作ってきましたが、自分の変化と共にそれぞれのチューニングの使い方が変わっています。これは本当に、素晴らしいシステムだと最近思ってます。
それぞれのチューニングは自分の中にあるそれぞれの側面を表しています。チューニングが違うと、音楽の持っている空気感が異なってくるからです。そして、そのそれぞれの側面の自分の変化が、そのチューニングの使い方の変化に表れます。
そういった変化を映像や録音で保存していくことによって、自分の中のそれぞれの側面がどのように変化していっているのか、それらの側面をどのように捉えていっているのかを記録できます。その記録から、自分自身のことを伝えたいのではなくて、人間の心の本質を伝えたく思っています。自分自身の変化は一つの具体例であって、他者に心の成り立ちを伝えるための道具です。
例えば、以下の二つの動画は、上の動画は海から教えてもらった「水の気持ち(問題解決の心)」のチューニング、下の動画は危険なシャーマンと関わったことによって感じていた「闇の気持ち」のチューニングを使って演奏しています。海と共に生きていたからこそ、上の動画は海の力強さが表現されていますし、下の動画からは闇のシャーマンと関わることの危険性を音から感じ取ることができます。この二つの映像は「光」と「闇」がもたらす「パワー(力)」の質の違いを理解する上でも役立ちます。
この二つの動画と同じチューニングを今使ったとしても、今はかなり異なる演奏になります。そういった変化から、様々な大事なことを学ぶことができます。
自分はその時その時に感じた「気持ち」を音で表現するためにチューニングを作ってきました。そういったチューニングを今振り返って改めて使うとなると、その「気持ち」に対する自分の認識が音によく表れますし、その「気持ち」を今はどのように使っているのかが音に表れます。
最近このことを強く思っています。コントラバスを全然弾かなかった長い修行期間を挟んで、再びコントラバスを弾き始めたからこそ、「気付く」ことができたことだと思っています。チューニングを色々作り始めた頃は、チューニングを多用することが、長期的に見て、こんなに素晴らしいことだとは思いもしませんでした。
人は心の成り立ちを見失っています。そのことによって、個人も世界も悪い方向へ向かいがちです。だから、心の成り立ちを説明するために役立つ何かを作ることは大事なことです。結局、自分の行なっている全てのことは、その道具作りです。言葉を通して、音楽を通して、映像を通して、そういった道具を作成するために生きています。
音楽は「気持ち」を他者に伝える上でとても優れた媒体であって、音楽演奏はその人間をよく映し出します。だから、音楽演奏の長期的な記録はその人間の変化をよく表します。一人の歌手の歌の変化などは、そういった意味を持っています。そういうものにチューニングという側面を加えることができたことは、大きな価値があることだと思っています。
人間は自分がやっていることの意味を全て理解した上で行動し始めることは本当に難しく、行動した後に振り返って分かることばかりです。どうして、振り返った時に色々なことが分かるかというと、認識が豊かになっているからです。逆に言うと、正しい認識を豊かにする努力を惜しまなければ、自分の過去の行動の意味がより分かるようになります。
自分を知るためにも、自分が何をすべきなのかを知るためにも、この世界がどういうものなのかを問い続けることは大事です。