「頑固」=「頑なに固まること」=「考えを変えたくないこと」です。逆に、「頑固」の対義語は「柔軟」であり、「柔軟」=「考えを変えることができること」です。

現代は「信念」がある人のことを「頑固」な人と捉えてしまうケースが少なくありませんが、「頑固」と「信念」は異なるものです。「信念」とは「正しいと考える自分の考え」を意味しますが、「何かを正しいと考えること(信念の立場)」と「考えを変えたくない(頑固の立場)」ことは異なるものだからです。「何かを正しいと考える」方向性は「考えを変えたくない」のではなく、「考えを変えるべきではない」と考えることに繋がります。

「真実」は「固」っています。だからこそ、「真実」が分かってしまうと、考えを変えられなくなります。しかし、その「真実」が「真実」だと分からない人からすると、「真実」を知っている人は「頑固」な人に見えてしまいます。

例えば、もし「1+1=3」だと思っている人がいたとしたら、「1+1=2」を知っている人は間違ってるように見えます。そして、「1+1=3」だと思ってる人が「1+1=2」の人の考えを変えようとしても、当然変わることはないですから、「1+1=3」の人は「1+1=2」の人を「頑固」とみなすことが起こり得ます。

「1+1=2」は皆が知っている「真実」ですが、世の中にはあまり知られていない「真実」も多々あります。そういう事柄に関するコミュニケーションだと、「賢さ」を持った人が「頑固」だと思われるケースがよく起こります。このケースは「賢さ」が故に生まれる正しい「信念」が「頑固」と思われるケースです。

しかし、「愚かさ」を持った人が「真実」でないものを「真実」とみなすケースは多々あります。そういう場合も「頑固」な人のように見えるのですが、実際は「頑固」な人ではなく、「愚か」な人です。このケースは「愚かさ」が故に生まれる間違った「信念」が「頑固」と思われるケースです。

「頑固」の根本的な原因は「愚かさ」ではなく「弱さ」にあります。何故ならば、自分の考えが間違ってる場合に、その間違いを受け入れられない「弱さ」が「頑固」に繋がるからです。逆に言うと、心に「強さ」がある人は、自分の考えが誤っていても、その間違いを受け入れるだけの「強さ」があるので、「頑固」ではなく「柔軟」になります。

以上の構造を整理すると以下のようになります。これらの構造があることを前提に、「頑固」「信念」「賢さ」「愚かさ」「強さ」「弱さ」といった言葉について理解を深めて頂けると幸いです。

 

         柔軟     ⇔     頑固

      考えを変えられる     考えを変えられない
      (強さがあるから)     (弱さがあるから)

 

         信念     ≠      頑固

    「考えを変えるべきでない」 「考えを変えたくない」
     (正しいと思うから)    (弱さがあるから)

 

         賢さ      ⇔     愚かさ

     正しいことを信念とする  間違ったことを信念とする