「根拠のない自信」と「根拠のある自信」の文章を読まれた後に読んでほしい内容なのですが、ここでは「漠然とした自信」と「能力ごとの自信」の違いを説明します。「根拠のない自信」と「根拠のある自信」については、以下のリンクから読むことができます。

http://junashikari.com/mind/self-confidence-1/

「漠然とした自信」とは何に対しても「自信」を持っているような人が持っている「自信」です。それに対して、「能力ごとの自信」とは自分の専門分野には「自信」を持っているような人が持っている「自信」です。

基本的に、我々が持つべき「自信」は「漠然とした自信」ではなく「能力ごとの自信」です。何故ならば、「自信」とは自分の「能力」がある分野に対して持つべきものだからです。「漠然とした自信」だと、自分の「能力」が無い分野に対しても「自信」を持ってしまいますから、やるべきではないことをやり始めることに繋がってしまいます。

今の日本社会は「自信」とは何なのかということを正しく理解せずに人は「自信」のことを考えがちなので、「漠然とした自信」が必要と無意識に思い込んでいる人もいます。しかし、実際はそういった「漠然とした自信」は持つからこそ危険なものでもあり、本当に必要なものは「能力ごとの自身」です。これは是非「意識化」して頂けると幸いです。

ただ、「漠然とした自信」でも「自信」がないよりはいいケースも多くあります。特に、新しい領域にチャレンジする時です。何に対しても「自信」を持っている人の方が、自分がやったことのない新しいことに対しても、チャレンジを行ないやすいです。

しかし、先程も書いたように、こういった方向性は自分の「能力」がない分野に踏み込むリスクにも繋がります。そういうことが原因で周りの人に多大な迷惑を与えてしまうということは、人間社会においてとてもよくあることです。だからこそ、「漠然とした自信」は危険です。

このような意味で「能力ごとの自信」の方が好ましいのですが、「能力ごとの自信」を適切に抱くことは簡単ではありません。何故ならば、自分の「能力」の本質を見極めることは簡単なことではないからです。自分の「能力」の本質を分かっていないが故に、自分が本当はできることをしない人は非常に多いです。

例えば、我々人間が抱えている「能力」の一つに「問題解決能力」がありますが、「問題解決能力」が高い人は、どんな異なるジャンルの世界であろうと、「問題解決能力」が必要な世界では自分の「能力」を活かすことができます。しかし、自分が持っている「能力」の本質が「問題解決能力」だと理解していない限り、他のジャンルの世界のことをできるとは思いづらいです。

具体例を取り上げると、本質的に「問題解決能力」が高い教師がいたとして、その教師が自分自身に対して、自分は「教える能力」は高いと思っていると、その人は先生以外のことをあまりしようとはしません。こういったケースは非常に多くあります。

「問題解決能力」が高い人は当然「教える能力」も高いです。何故ならば、「教える」という行為自体が「問題解決」によって行なえる行為だからです。「この生徒は一体何を理解していないだろうか?」「一体どんな教え方だったら話を聞いてくれるだろうか?」といった「問い」を教師はする必要がありますが、これらの「自問自答」の行為は全て「問題解決」です。

この教師のように自分自身の可能性を限定してしまわないためにも、自分が本質的にどのような「能力」を持っているのかということを正しく見極めることは大事です。そして、自分自身の「能力」の本質を理解するために必要なことは、人間を構成しているそれぞれの「能力」の本質を理解することです。

現代は心の成り立ちを見失っている時代なので、人間がどのような「能力」によって成り立っているのかということが見失われがちです。だからこそ、それぞれの人は自分自身が持っている「能力」の捉え方が分からず、誤った形で自分自身の「能力」を解釈し、その誤った解釈によって、「自信」を抱くべき分野に対して「自信」を抱かなかったり、「自信」を抱くべきではない分野に対して「自信」を抱いてしまっています。その結果として、人はチャレンジするべきことをチャレンジしにくくなっていますし、チャレンジしてはならないことにチャレンジしてしまいがちです。

ただ、計ることがしやすい「能力」もたくさんあります。例えば、英語を話せるかどうかは分かりやすい「能力」です。また、身体能力なども非常に分かりやすく、例えば、身長が190cmある人は170cmの人よりもバスケットボールにおいて「能力」が高いことは明らかです。こういった、分かりやすい「能力」に関して人が自分の「能力」を間違って解釈することは少ないです。

しかし、我々に本当に大事な「能力」は測ることがしづらい心の「能力」です。例えば、心の「強さ」は身長のように測ることはできませんが、心の「強さ」があればどんなことにも屈しない人間になりますから、これは人間を構成する非常に重要な「能力」の一つです。それと同様に「賢さ」の大きさなども、何をするにおいても重要な「能力」です。

我々は、こういった心の「能力」が自分にどれだけあるのかを正しく見極め、その分析結果を基に正しく「自信」を抱く必要があります。こういった方向性が正しい「能力ごとの自信」を見出すための方法です。

この文章を通して、「漠然とした自信」よりも「能力ごとの自信」を持つことの方が重要であること、自分の「能力」を正しく見極めることが重要であることを理解して頂き、日常に活かして頂けると幸いです。